今から丁度100年前の話だ。
何千年、何万年と戦争を繰り広げてきた人間と魔族。
その相容れぬ2つの種族が、平和協定を結んだ。
やがて法律も変化していき、これまで禁忌とされてきた
『異種族婚』も認められるようになり、2つの種族は手を取り合った。
……というのは表面上の話。
人間、魔族共々純血こそ至高という考え方が変わったわけではなく、
差別・偏見が残っているのが現実である。
そんな中、「天泣の国」に1つの学園が作られた。
『翠雨異能者養成学園』。
__純血も混血も受け入れる、なんて綺麗事を吐いて。
人間、魔族、混血の者たちが住む国。
街並みは中世ヨーロッパの様になっていて、
魔物の侵入を防ぐために国を取り囲む様に大きな壁が作られている。
街に出入りするのは、北門と南門からの2か所からだけ。
稀に魔物が入ってきて甚大な被害を受ける事も。
「天泣の国」に作られた、異能力者を養成する私立学園。
制服はなく、私服登校出来る。
戦闘服を学校側に注文し、怪我を軽減する特別な糸で
織ってもらうことも可能。
ペーパーテストのみならず、異能の実技試験などの
厳しい試験をパスした者のみ入学できる。
全ての異能力者が夢見る学校と言っても過言ではないだろう。
各学年、優秀成績者上位7名を
『黒漆ノ烏』という特待生にする決まりがある。
定期的に行われる異能力試験、ペーパーテストの
総合成績によって『黒漆ノ烏』は入れ替わる。
稀に、国に大きな貢献をした生徒が『黒漆ノ烏』になる事も。
『黒漆ノ烏』達の強さは拮抗しており、
成績優秀者順に称号が付けられているものの、
その称号の価値は殆ど変わらない。
班制度を導入しており、班ごとに「課題」が課される。
課題の内容は、 “魔物” の討伐や稀少な植物等の採集など様々。
「天泣の国」の人口の約80%を占める生物の総称。
異能力を持って生まれてくる確率は約10万人に1人と稀有。
そのため、異能力を持つ人間は神格化されることも。
肌の色は私たちとほぼ同じ、髪色・目の色はは黒か茶が基本。
非常に軟弱な生物であるが、繁殖力と適応力が高いため、
戦争で一方的に攻撃されるような事態に陥らなかった。
「天泣の国」の人口の約20%を占める生物の総称。
異能力を持って生まれてくる確率は90%。
逆に異能力を持たない魔族は迫害される。
容姿に何らかの異常(色素異常、多眼、角など)が見られ、
一部人間に危害を加える性質を持つ種族があることから
人間に敵視されていることが多い。
体は人間より頑丈で、深い切り傷も3日ほど経てば
怪我の跡一つ残さず再生できるほどの
強い生命力を持っている。
しかし、繁殖力が非常に弱いため、
戦争では人数確保のため守りの体制に入ることが多く、
一方的に人間を攻撃することができなかった背景も。
人間と魔族の間に生まれた生物の総称。
「天泣の国」の総人口の1%にも満たない。
純血至高主義であるため、
人間からも魔族からも迫害されることが多い。
しかし、魔族×魔族の時より繁殖力が格段に強くなる上、
異能力を発現させる事が多い。
そのため、使い勝手のいい「異能力」として
愛情もなく育てられる者も少なくない。
基本的に人間と魔族両方の長所所を引き継いで生まれてくる。
魔族と同じように容姿に一部異常があることも。
理性を持たない生物。
知力が低いため意思疎通も出来ない。
人間、魔族関係なく襲ってくるため非常に危険。
毎年何万人もの犠牲者が出ており、
異能力を持つ人も持たない人も恐れて生活する。
炎を吐く、空を飛べるなどの超常能力を扱える数が
0〜5個の魔物を低級、6〜10個の魔物を中級、
11個以上の魔物を上級と分類されている。
第一印象で分かることはないと言われているが、
『オーラ』や『狡猾さ』によって察する人も多い。
学園などで訓練された優秀な異能力者が討伐し、
仮初の平穏を築いているのである。
魔族と容姿が一部類似する事もあるが、
その関係性は一切ない。